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業務委託

CTO代行の契約書は、準委任と書いてあれば安心なのか

株式会社adding 代表 / CTO代行・編集方針

CTO代行の契約書を開いたところで、手が止まる経営者は多いはずです。依頼する相手も金額も決まった後に、準委任契約という聞き慣れない言葉が出てきて、解約や損害賠償の条項が自社に不利なのかどうか、判断する材料が手元にないからです。

僕自身、業務委託のCTOとして複数の会社と契約書を交わして働いています。受託する側の目線で先に要点を書くと、CTO代行の契約は準委任契約が基本で、締結前に必ず具体化しておきたい条項は、成果物の帰属、解約予告期間、稼働の定義の3つです。3つが曖昧なまま契約すると、仕事の中身ではなく契約の解釈で揉めることになります。

この記事では、準委任契約とは何かという基礎から、条項ごとの確認の仕方までを、法律用語ではなく経営者の言葉で説明します。

CTO代行の契約書は準委任契約が基本です

業務委託の契約には、大きく分けて請負と準委任という2つの形があります。請負は、仕事の完成を約束する契約です。ウェブサイトを納品する、アプリを完成させる、という具合に、出来上がったものと引き換えに報酬を受け取ります。

一方の準委任契約とは、仕事の完成ではなく、専門家として業務を誠実に遂行することを約束する契約形態です。

CTO代行の仕事は、技術の選択肢を評価して推奨案を示す、開発体制を整える、エンジニア採用の技術面接に入る、といった判断と助言が中心です。どの仕事も「完成」を事前に定義できません。完成を定義できない仕事を請負で契約すると、何をもって完了とするかで発注側と受託側の認識がずれ、検収のたびに揉めます。

だからCTO代行の契約は準委任が基本になります。

注意してほしいのは、準委任だから柔軟だ、費用負担なくいつでもやめられる、と一般論で安心しないことです。民法651条と656条では、委任を各当事者が解除できる原則を準委任にも適用し、相手に不利な時期の解除では損害賠償が必要になる場合も定めています。

予告期間、途中終了月の精算、引き継ぎ、損害賠償を契約でどう定めたかによって、終了時の負担は変わります。個別条項が法的にどこまで有効かも事情で変わるため、準委任という形式を確認した後は条文を読み、疑問が残れば弁護士へ確認してください。

契約の前に役割と意思決定範囲を整理したい人は、CTO業務委託の全体像から読んでみてください。

CTO代行の契約書では、成果物の帰属を書いていない状態が危険です

準委任は完成を約束しない契約ですが、業務の過程では成果物が生まれます。技術戦略の資料、システムの設計書、コードレビューのコメント、場合によってはコードそのものです。契約が続いている間は問題になりませんが、契約が終わった後に「あの設計書を使い続けてよいのか」「コードの権利はどちらにあるのか」という疑問が必ず出てきます。

契約書に帰属の定めがない場合に権利がどちらへ渡るかは、作られたものの種類や経緯によって解釈が分かれます。解釈に委ねるのではなく、業務の過程で作成された資料・設計書・コードの著作権や利用権が誰に帰属するかを、締結前に条文で明記してください。受託者が以前から持っているノウハウや汎用的な部品を帰属の対象から除外する書き方も一般的なので、除外の範囲もあわせて確認します。

判断に迷う条文が残るなら、締結前に弁護士へ確認する費用を惜しまないほうが安全です。

CTO代行の契約書の解約予告期間は、「困る側」を想像して決めます

契約書の中で読み飛ばされやすく、あとで一番効いてくるのが解約の条項です。確認するのは、予告期間の長さ、最低契約期間の有無、途中で終わる月の報酬の精算方法の3点です。

予告期間は、短ければよいというものではありません。たとえば予告期間が2週間なら、合わない相手とすぐに契約を終えられる半面、相手からも2週間で離れられます。技術の意思決定を任せていた人が来月からいなくなると、採用や開発の計画は止まります。

逆に予告期間が3ヶ月あると、急な離脱には備えられますが、成果の出ない契約を3ヶ月引きずる覚悟も要ります。自社が「終えたい側」になった場合と「離れられる側」になった場合の両方を想像して、耐えられる長さを決めてください。

損害賠償の条項も、上限や対象範囲がどう書かれているかを確認する箇所です。条文の良し悪しは契約全体との組み合わせで変わるので、一般論で判断せず、疑問が残る箇所は締結前に文言の修正を求めるか、専門家に見てもらってください。

稼働の定義と情報管理は運用の解像度で確認します

稼働の定義は、金額の次に認識がずれやすい箇所です。週1日程度、月1〜2回の定例、と書いてあっても、チャットでの質問に答える時間は稼働に含まれるのか、定例の準備はどちらの持ち時間なのか、繁忙期に稼働を一時的に増やせるのか、といった運用の細部までは読み取れません。細部をすべて契約書に書き込む必要はありませんが、少なくとも「何をもって契約どおりの稼働と見なすか」だけは、締結前に文章で合意しておいてください。

参考までに、僕が提供しているプランでは、顧問プランが月8万円〜で月1〜2回の定例ミーティング、伴走プランが月30万円〜で週3時間程度の稼働、CTO代行プランが月60万円〜で週1日程度の稼働、という対応にしています。金額と稼働の対応を契約書と同じ言葉で言い切れるかは、依頼先を見るうえで分かりやすい基準になります。金額そのものの妥当性はCTO代行の費用相場に書きました。

情報管理は、秘密保持条項と権限の扱いの2つで見ます。契約書に秘密保持条項を含めるか、別途NDAを結ぶかは形式の問題なので、どちらでも構いません。大事なのは、外部のCTOがソースコード、顧客データ、インフラの管理者権限に触れる前提で、アクセス権限の付与の範囲と、契約終了時の返却・削除の手順をあらかじめ決めておくことです。

再委託を認めるかどうかも、自社の情報が誰まで届くかを決める条項なので、あわせて確認してください。

契約書の交渉は、相手を見極める最後の機会です

条項の追記や修正を求めるのは、相手を疑う失礼な行為ではありません。むしろ、成果物の帰属や解約条件について質問したときの反応で、相手の誠実さと実務経験が分かります。曖昧な質問に曖昧なまま答える相手、修正の相談自体を嫌がる相手とは、契約後も同じすれ違いが続きます。

契約書の外で確認する役割の全体像はCTO代行とは何かにまとめてあります。

CTO代行の契約書を受け取った経営者からよく出る質問

CTO代行の契約は途中解約できますか?

民法上は、委任を各当事者が解除できる原則が準委任にも適用されます。ただし、相手に不利な時期の解除で生じる損害や、契約に定めた予告期間、途中終了月の報酬、引き継ぎの扱いは別に確認が必要です。

契約書に終了条件が書かれていない場合も含め、実際にいつ、どの負担で終了できるかは弁護士へ確認してください。締結前には、予告期間と精算方法を当事者の言葉で明記しておくのが安全です。

契約書はどちらが用意しますか?

決まりはありませんが、CTO代行側がひな形を持っているケースが多いはずです。相手のひな形で始めて構いません。ただし、ひな形は相手に有利に書かれている可能性がある前提で読み、必要な修正を遠慮なく求めてください。

顧問弁護士がいるなら、締結前に一度見てもらうのが確実です。

NDAだけ先に結ぶことはできますか?

多くの場合できます。本契約の前の相談段階で、システム構成や事業の内部情報を見せる必要があるなら、先にNDAだけ結んでから話す進め方は実務として自然です。逆に、相談の初期段階から細かい内部情報を求めてくる相手には、必要な理由を確認してください。

準委任と請負はどちらがよいですか?

判断や助言が中心のCTO代行の業務は準委任が基本です。ただし、特定の機能の開発をまとめて任せるような、完成物を定義できる仕事を切り出す場合は、部分ごとに請負を組み合わせる選択肢もあります。1つの契約にまとめず、業務の性質ごとに分けて考えてください。

サイン前に、3つの条項を自分の言葉にします

CTO代行の契約は準委任契約が基本で、締結前に具体化すべき条項は、成果物の帰属、解約予告期間、稼働の定義の3つです。契約書のドラフトを受け取ったら、まず3つの条項に絞って読み、自社の言葉で説明できない箇所に質問と修正依頼を出してください。誠実な依頼先なら、具体的な文言で応えてくれます。

契約書のやり取りまで含めて相手を見極められれば、契約後に揉めやすい火種の大半は、締結前に消せます。

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