本文へ移動
考え方

CTO代行は週1で足りるのか。やれること、やれないこと

株式会社adding 代表 / CTO代行・編集方針

週1稼働のCTO代行を検討し始めた経営者が最初に抱く疑問は、だいたい決まっています。「週に1日しか来ない人に、意味のある仕事ができるのか」という疑問です。僕自身が業務委託のCTOとして複数の会社に部分稼働で入っている立場なので、先に答えを書きます。

週1のCTO代行で変わるのは作業量ではなく、技術の意思決定の速さと質です。逆に、実装の主力や毎日のチームマネジメントを週1の契約に期待すると、お互いに不幸になります。今回は、週1でやれる仕事とやれない仕事を、提供している側の目線で正直に分けてみます。

CTO代行の週1契約で変わるのは「意思決定」です

開発が前に進まない原因は、手を動かす人の不足だと思われがちです。ただ、作業ではなく判断が止まっているせいで進まない、という構図もよくあります。開発会社から見積もりが届いたのに、妥当かどうかを判断できる人が社内にいません。

エンジニアから「作り直したい」と提案されたものの、認めていいのか分かりません。技術の選択肢が二つあって、どちらの説明も正しく聞こえます。作業は外注でも社内でも誰かが進めてくれる一方で、決める仕事だけが宙に浮いている状態です。

決める仕事の特徴は、毎日張り付いていなくても品質を保てることです。論点と材料が揃っていれば、週1回の場で十分に判断できます。大事なのは頻度より確実さで、「毎週必ず、技術の論点が決まる日がある」という状態を作ると、残りの日の作業が正しい方向へ流れ始めます。

反対に、決める人がいないまま作業だけが進む会社では、進んだ分だけ手戻りが育ちます。週1のCTO代行は、決まらないまま進む構造を止めるためのサービスだと考えてもらうのが一番実態に近いと思います。

CTO代行の「週1」には、中身が2種類あります

CTO代行の文脈で「週1」と呼ばれる関わり方には、二種類あります。ひとつは、週に1日まるごと現場へ入り、会議にも設計にも手を動かす作業にも参加する「週1日の稼働」です。もうひとつは、週1回程度の定例ミーティングとチャットでの随時相談を組み合わせる「週1回の接点」です。

同じ週1でも、前者は実務に入る契約で、後者は判断を支える契約なので、金額も役割も変わります。

うちの料金で言うと、月1〜2回のオンライン定例とSlackでの非同期相談を中心にした顧問プランが月8万円〜、週3時間程度の稼働で要件定義や設計、PoCの実装支援まで一緒に進める伴走プランが月30万円〜です(いずれも初回60分の無料相談が付きます。料金は更新日時点のものです)。どちらが合うかを分ける質問はひとつで、「助言をもらえば社内で実行できるのか、現場で手と口を動かす人が必要なのか」です。

助言と意思決定の違いについては技術顧問とCTO代行の違いで詳しく書いたので、迷っている方は先に読んでみてください。

CTO代行の週1稼働に任せられること

週1で最も価値が出るのは、外部への発注まわりの判断です。たとえば、開発会社から数百万円の見積もりが届いたとします。週1のCTO代行がいれば、内訳の粒度や前提条件、工数の妥当性を確認し、開発会社への質問を組み立て、必要なら差し戻すところまでを次の定例までに回せます。

発注の意思決定が1回変わるだけで、月の委託費を上回る金額が動くことがあります。

技術選定や設計方針の決定も、週1で回せる仕事です。データベースの選定、認証の設計、既存システムを延命するか作り直すかの判断など、論点を絞れば週1の場で決められます。決めた内容を文書に残し、開発会社や社内のエンジニアへ伝わる言葉に翻訳するところまでが仕事の範囲です。

採用の支援も週1と相性が良い領域です。求人票の技術要件を一緒に言語化し、応募者の技術面接に同席し、経歴書のどこを見るべきかを経営者へ伝えます。毎日いる必要はなく、選考のタイミングに合わせて判断へ入れば機能します。

もうひとつ、地味ですが効くのは開発の進め方の整備です。コードレビューの手順、リリース前の確認項目、障害が起きたときの連絡順序といった決まりごとは、一度設計すれば毎日運用するのはチーム自身なので、週1の外部CTOが担う仕事として成立します。

週1のCTO代行ではやれないこと

正直に書くと、やれないことも多いです。まず、実装の主力にはなれません。週1日の稼働でコードを書く時間を確保しても、開発の中心を担うには足りず、中途半端に書くと引き継げないコードが残ります。

実装の手が足りないなら、必要なのはCTO代行ではなくエンジニアの増員です。

毎日のチームマネジメントも範囲外です。朝会に毎日出る、メンバーの相談に即応する、進捗を日次で追うといった仕事は、週1の接点では物理的に成立しません。開発チームが大きくなり、日々の判断が大量に発生するフェーズなら、週1日程度の稼働で技術組織を預かるCTO代行プラン(うちの場合は月60万円〜)を挟むか、正社員の技術責任者を検討すべき段階です。

障害対応の一次対応も、週1契約には期待しないでください。夜中にサービスが落ちたとき、真っ先に駆けつける役割は契約上も実務上も担えません。週1のCTOにできるのは、障害が起きる前に監視と連絡体制を設計しておくことと、起きたあとの再発防止を一緒に考えることです。

週1の価値は、経営者側の使い方で大きく変わります

同じ週1契約でも、成果には差が出ます。差を生むのは、経営者側の準備です。定例までに「決めたい論点」を貯めておく会社では、毎週の1時間が意思決定の場として機能します。

逆に、論点を持ち込まず近況報告だけで終わる会社では、契約が形骸化していきます。

もうひとつ大事なのは、情報へのアクセスです。ソースコードのリポジトリ、課題管理ツール、開発会社とのやり取りを見られる状態にしてもらえれば、定例の外でも状況を把握でき、判断の質が上がります。週1という限られた接点を「報告を聞く時間」ではなく「決める時間」にできるかどうかは、外部CTOの力量と同じくらい、受け入れる側の設計にかかっています。

稼働の定義や情報管理はCTO代行の契約書で確認すべき条項にまとめてあります。

CTO代行の週1契約を考える経営者からよく出る質問

週1のCTO代行の費用はいくらですか?

稼働の深さで変わります。うちの場合、定例とチャット相談が中心なら顧問プランの月8万円〜、週3時間程度、現場に入って手も動かすなら伴走プランの月30万円〜です(料金は更新日時点のものです)。金額の構造はCTO代行の費用相場で分解しているので、あわせて読んでみてください。

週1で開発スピードは上がりますか?

実装の手は増えないので、作業自体は速くなりません。速くなるのは意思決定です。決定待ちで止まる時間と、方向違いの手戻りが減ることで、結果として開発全体は前へ進みやすくなります。

途中で稼働を増やせますか?

準委任の月額契約では、トラブルを避けるために、稼働を見直す時期と解約条件を締結前に合意したほうがいいです。具体的な解除条件は契約ごとに異なるので、契約書を確認してください。うちは途中のプラン変更が可能で、開発が本格化したら稼働を上げる使い方を想定しています。

正社員CTOの採用と並行できますか?

並行できますし、僕はむしろ並行をおすすめしています。技術責任者の採用には時間がかかりますが、週1のCTO代行なら最短1週間で技術判断を回し始められます。採用活動を続けながら意思決定の空白を埋め、良い人が決まったら引き継いで契約を縮小すればよいので、事業の速度を落とさずに済みます。

次の定例で、決めたい論点を1つ持ち込んでください

週1稼働のCTO代行で変わるのは、作業量ではなく技術の意思決定の速さと質です。週1には「週1日の稼働」と「週1回の接点」の二種類があり、前者は実務まで、後者は判断の支えまでと役割が違います。実装の主力や毎日のマネジメントは範囲外なので、いま足りないものが判断なのか手なのかを先に見極めるのが、失敗しない検討の順番です。

自社の状況で週1に意味があるのかどうかは、話してもらえれば短時間で見立てられます。うちは初回60分の無料相談をやっているので、いま止まっている論点をそのまま持ってきてください。週1で足りるのか、もっと薄い関わりで十分なのか、CTO代行がまだ不要なのかも含めて、経営と技術をつなぐ立場から率直にお答えします。

次に読む