技術顧問とCTO代行の違いは「動く人がいるか」です
机の上に、二つの提案書が並んでいます。片方には「技術顧問契約のご案内」、もう片方には「CTO代行サービスのご提案」と書いてあります。読み比べても、仕事内容の説明は似たり寄ったりで、はっきり違うのは金額だけです。安いほうを選んでいいものか、判断がつきません。技術顧問とCTO代行の違いを検索する経営者は、だいたいこの場面にいると思います。先に結論を書くと、両者の違いは「責任範囲・稼働・費用」の3つの軸で整理でき、選ぶ基準は「助言が欲しいのか、決めて前に進めてくれる人が欲しいのか」という一点に集約されます。僕は技術顧問的な関わり方でもCTO代行としても企業に入っている立場なので、両方の中身を実務の目線で書いてみます。
技術顧問とCTO代行の違いは、会議の後に誰が動くか
技術顧問とは、聞かれたことに専門家として答えるアドバイザーです。月1回の定例会議に出て、経営者やエンジニアからの質問に答えます。開発会社の見積もりを見て所見を述べます。新しい技術を採用すべきかの相談に乗ります。関わり方の中心は「求められたときに判断の材料を提供すること」で、最終的な事業判断は経営者が担います。
ただし、成果を保証しない契約と、助言者が一切責任を負わない契約は同じではありません。責任範囲は、契約、任せた業務、注意義務違反の有無、損害との関係で変わるため、締結前に条文を確認してください。
CTO代行は、意思決定の当事者として一歩踏み込みます。選択肢を並べて終わりではなく、「御社の状況ならこの構成を選ぶべきです」と自分の名前で結論を出し、決めた後の実行まで面倒を見ます。開発会社への指示出し、エンジニア採用の面接同席、開発の進め方の設計です。任せられる仕事の全体像はCTO代行とは何かという記事にまとめていますが、ひとことで言えば「技術責任者の機能を外部から提供する仕事」です。
両者の境界を一番シンプルに言うなら、会議が終わった後に動くのは誰か、だと思います。技術顧問の場合、助言を受けて動くのは経営者と社内のメンバーです。CTO代行の場合、代行者自身が動きます。動く人が社内にいるかどうかが、あとで書く判断軸にもつながってきます。
技術顧問とCTO代行の違いは、稼働・費用にも表れる
責任範囲の違いは、そのまま稼働時間と費用の違いになります。僕が実務で見た技術顧問契約には、月1〜2回の定例とチャットでの質問対応を、月数万円から10万円前後で依頼する例がありました。公的な市場相場ではなく、役割と稼働を揃えなければ金額だけでは比べられません。うちのサービスでは、月1〜2回の定例が中心の顧問プランが月8万円〜で、位置づけとしては技術顧問に近い関わり方です。
CTO代行として実務まで踏み込む場合、うちのサービスでは週3時間程度の伴走プランが月30万円〜、週1日程度のCTO代行プランが月60万円〜です。金額だけ見ると技術顧問の数倍ですが、費用の差は「同じ仕事の値段の差」ではなく「引き受けている仕事の量と責任の差」です。料金の内訳や安すぎる見積もりの危うさはCTO代行の費用相場で詳しく分解しているので、費用面を詰めたい方はリンク先も読んでみてください。
気をつけてほしいのは、「まず安い技術顧問から」という選び方です。動ける人が社内にいない会社が技術顧問を契約すると、毎月いい助言をもらうだけで何も前に進まない、という状態になりがちです。助言は実行する人がいて初めて価値になります。月8万円〜で助言だけ積み上がるより、月30万円〜で実際に前へ進むほうが、結果として安くつくケースは珍しくありません。
技術顧問とCTO代行の違いは、提案書の動詞で見分ける
もうひとつ、契約前に知っておいてほしい事情があります。技術顧問もCTO代行も法律で定義された言葉ではないので、名乗り方は自由です。技術顧問という肩書きで意思決定から採用まで踏み込む人もいれば、CTO代行という名前で実際は月1回の助言だけという契約もあります。名前で中身を判断すると、期待と実態がずれます。
だから提案書を見るときは、名前ではなく中身を確認してください。確認する軸は2つで足ります。ひとつは責任範囲、つまり助言までなのか、意思決定と実行の管理まで踏み込むのかという点です。もうひとつは稼働、つまり月に何時間動いてくれて、定例以外の相談にどこまで応じてくれるのかという点です。契約形態はどちらも準委任契約が基本で、契約の名前と任せる役割を切り分ける考え方はCTOを業務委託するときの責任範囲にもまとめています。
自社に聞くのは、この三つだけです
自社に必要なのがどちらなのか、僕が初回相談で確認している質問をそのまま書きます。
- 助言を受けて動ける人が、社内にいますか?
- 技術の判断が必要になる頻度は、月1回の定例で間に合っていますか?
- 困っているのは「判断に自信がないこと」ですか、「決めて動かす人がいないこと」ですか?
1つ目の質問が一番効きます。社内にエンジニアやプロダクトマネージャーがいて、方向さえ示されれば実行できる体制があるなら、技術顧問で十分に機能します。逆に、開発をすべて外部に委託していて社内に技術の分かる人が一人もいないなら、助言だけもらっても実行のしようがないので、CTO代行のほうが合っています。
2つ目は頻度の話です。技術の論点がたまにしか出ない会社なら月1回の定例で回りますが、開発が毎週動いていて判断待ちが頻繁に発生する会社では、月1回の助言は遅すぎます。判断待ちで開発が止まる時間も、外注費と同じくコストです。
3つ目は、困りごとの種類を切り分ける質問です。自分なりに判断はできているが専門家の目で確認したい、という状態なら技術顧問が合います。そもそも論点を整理して結論を出す人がいない、という状態ならCTO代行です。迷う場合は両方の中間もあり得るので、初回の相談で状況ごと話してもらうのが早いと思います。
契約の途中で迷いやすい三つの質問
技術顧問は月1回の稼働で意味がありますか?
意味が出るかどうかは、社内に実行する人がいるかで決まります。エンジニアチームがある会社なら、月1回でも「進む方向の確認」と「重要な判断のレビュー」ができるので効果は十分あります。実行する人がいない会社では、助言が積み上がるだけになりやすいので、月1回の顧問契約はおすすめしません。
技術顧問からCTO代行へ途中で切り替えられますか?
切り替えられるかは、契約の変更条項と双方の合意によります。うちの契約では、開発会社の管理や採用支援が増えたら顧問からCTO代行へ広げ、体制が整ったら顧問へ縮小できます。準委任という契約類型だけで変更できるわけではないので、見直す時期、通知方法、料金を締結前に確認してください。
社外CTOやフラクショナルCTOはCTO代行と別物ですか?
呼び名が違うだけで、中身はほぼ同じと考えて構いません。社外CTO、シェアリングCTO、フラクショナルCTOは、いずれも外部の専門家が部分稼働で技術責任者の機能を担うサービスを指します。名前の違いより、前に書いた責任範囲と稼働の2軸で各社の提案を比べるほうが、選び間違いを防げます。
社内で動けるなら顧問、動く人がいなければ代行
技術顧問とCTO代行の違いをあらためてまとめると、技術顧問は「聞かれたことに答えるアドバイザー」で、CTO代行は「意思決定と実行まで踏み込む当事者」です。うちでは、月1〜2回の定例が中心の顧問プランが月8万円〜、週3時間程度の伴走プランが月30万円〜、週1日程度のCTO代行プランが月60万円〜です。分かれ目は、助言を受けて動ける人が社内にいるかどうかです。
どちらの形でも共通する良さは、採用を待たなくていいことだと思っています。技術責任者の採用にかかる期間は条件と採用経路で変わるので、募集中の技術判断を誰が担うかも先に決める必要があります。外部の専門家は条件が合えば最短1週間で技術の判断を回し始められて、いい人が採用できたら引き継げます。
この記事を閉じる前に、今止まっている技術の判断をひとつ書き出してみてください。助言を受けて社内で動けるなら技術顧問、誰も実行を引き取れないならCTO代行です。その切り分けが難しければ、初回60分の無料相談で、止まっている判断をそのまま持ち込んでもらえるとうれしいです。
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